ドラッグストアの就職状況

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)発表の「2012年度日本のドラッグストア実態調査
(第13回)によると、全国のドラッグストア総店舗数は前回調査(11年度)から329店舗増加し、
1万7144店舗と報告され、売上高に関しては5兆9408億円(2.4%増)と、伸び率は鈍化傾向である
としつつも、依然として成長を続けていることが示されています。

また、店舗の規模別では150〜300坪クラスが40%以上を占めており、ドラッグストアの中心的
規模に変化はなく、150坪以上を大型店とすれば、全体の約半数が大型店であった。
一方、60坪未満の店舗に関しても一定割合を保持する傾向が見られており、今後も企業特性、
地域特性に応じた出店が行われることで大型店舗や狭小商圏に対応した小型店舗など、
バランスの取れた出店が続くのではと予想されています。

このように、近年の店舗数の拡大に伴い、薬剤師求人数も増加しているのが、ドラッグストアです。
求人数が少なく倍率が高い製薬会社や病院に比べ、より就職間口が広く、給与待遇条件も良い
ことから、ドラッグストアを就職口に選ぶ薬剤師が増え続けています。

ドラッグストアでは薬以外に日用品、化粧品、食品も扱っているため、顧客間口は広く、
一度地域に上手く受け入れられれば、非常に安定性と将来性のある職場といえるでしょう。

このような状況の中、ドラッグストアには次のようなメリット・デメリットがあるといえます。

まずメリットとしては、以下の例が挙げられます。

 ・店舗管理・店舗経営まで幅広い業務に携わることができる
 ・OTC薬についての幅広い知識が身につく
 ・病院や調剤薬局よりも患者さんとの距離が近く、直接コミュニケーションがとれる
 ・調剤併設型の場合は、調剤業務にも従事できる
 ・経験を積むことで、独立・開業を目指すことができる
 ・調剤薬局・病院と比較して給料は高く、初任給としては最高水準
 ・求人数が多い

求人数が多いのは一番のメリットですが、デメリットも以下のように挙げられます。

 ・医薬品以外の業務も扱う必要があり、薬剤師としての専門性を活かしきれない
 ・業務範囲が広いため、業務負荷が多いことがある
 ・給料は頭打ち傾向で、薬剤師資格手当の10万円分は賞与に反映されず収入が上がりにくい
 ・登録販売者制度により薬剤師の必要性が薄れ、経費削減で登録販売者に置き換える店舗もある
 ・第一類の医薬品は薬剤師しか扱えないため、シフトによって休みづらいこともある
 ・役職が少ない

次に給料に関してですが、厚生労働省の統計によれば薬剤師の平均月収は約37万円、平均年収
は529万円
といわれていますが、ドラッグストアに勤務する薬剤師の初任給は約25万円〜35万円、
初年度の年収は350万円〜450万円と薬剤師の中で最高水準となっており、中には初任給で年収
600万円
の提示もあります。また店長クラスになると、700万円を超えることも珍しくありません。

収入面にこだわって就職・転職活動をする場合は、ドラッグストアはおすすめできるといえます。

一方、ドラッグストア勤務の薬剤師の主な仕事はOTC薬の販売になります。調剤を行うドラッグ
ストアも増えていますが、OTC薬の販売と担当分けされている場合もあります。また夜遅くまで
営業していたり、休みが不定期な店舗が多く、交代制勤務が多いです。しかし勤務体制にこだわら
なければ、OTC薬の知識習得や経営スキルの習得ができるドラッグストアは十分に魅力的で、
独立開業にも役立つといえるでしょう。

また、近年ドラッグストアは、地域の人々の生活に欠かせない身近な存在となってきており、
調剤薬局薬剤師や病院薬剤師が既に医者にかかっている患者さんを対象とするのに対して、
ドラッグストア薬剤師の場合は予防医療という観点からも地域住民の健康な暮らしを支える
重要な役割を担っているため、非常にやりがいのある仕事といえるのではないでしょうか。

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